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投資信託はやめたほうがいい?誤解の理由とデータで見る「向き不向き」
投資・資産運用公開日: 2026/02/18

投資信託はやめたほうがいい?誤解の理由とデータで見る「向き不向き」

「投資信託は手数料が高いからやめたほうがいい」「元本割れして損をするだけだ」——。

資産形成への関心が高まる一方で、SNSやネット上ではこのようなネガティブな意見を目にすることがあります。これから投資を始めようと考えている方にとって、こうした言葉は不安の種になるでしょう。しかし、その主張は本当にすべての投資信託に当てはまるのでしょうか?

多くの場合、「やめたほうがいい」という意見は、仕組みへの誤解や、自身の目的に合わない商品を選んでしまった経験、あるいは短期的な損失への感情的な反応に基づいていることが少なくありません。

本記事では、なぜ「やめたほうがいい」と言われるのかその背景を整理し、客観的なデータを用いてその真偽を検証します。さらに、投資信託が「合う人」と「合わない人」の特徴を明確化することで、あなたが投資信託を利用すべきかどうかを冷静に判断するための材料を提供します。

投資信託が「やめたほうがいい」と言われる理由

まず、なぜ投資信託に対して否定的な意見が存在するのか、その主な理由を構造的な観点から整理します。

手数料によるリターンの押し下げ

投資信託には、保有中に継続してかかる「信託報酬」や、購入時にかかる「購入時手数料」が存在します。一部の商品では、購入時に購入金額の3.30%程度の手数料がかかるケースや、信託報酬が年率2%を超えるものも存在します。こうしたコストが高い商品は、運用益が出ても手数料で相殺されてしまう場合があり、「手数料負けする」と批判される原因となります。

元本保証がないことへの拒絶感

銀行預金とは異なり、投資信託には元本保証がありません。市場環境が悪化すれば、資産価値が投資額を下回る「元本割れ」が発生します。特に、リスクに関する十分な理解がないまま投資を始めた場合、一時的な資産減少に強いストレスを感じ、「やめておけばよかった」という後悔につながりやすくなります。

商品の中身が分かりづらい

投資信託は「運用のプロにお金を預けて代わりに投資してもらう」仕組みですが、具体的にどの企業の株が含まれているのか、どのようなリスクがあるのかが直感的に見えにくい側面があります。中身がブラックボックス化した状態で損失が出ると、不信感を抱きやすくなります。

偏った情報の影響

一部のSNSやメディアにおいて、極端な短期トレードの失敗談や、特定の高コスト商品を批判する際に強い言葉が使われることがあります。こうした断片的な情報が、投資信託全体の評価として誤認されているケースも見受けられます。

誤解と現実(データ・制度の整理)

では、「やめたほうがいい」という理由は、現在の投資環境においてどこまで妥当なのでしょうか? 客観的なデータと市場の実態をもとに検証します。

手数料には大きな「幅」がある

「手数料が高い」というのは一部の商品には当てはまりますが、すべてではありません。実際に販売されているファンドのデータを確認すると、手数料設定には大きな差があることがわかります。

  • 高コストな例: 日本株ファンドの一部では、購入時手数料が上限3.30%、信託報酬が年率1.76%程度に設定されているものがあります。
  • 低コストな例: 一方で、指数への連動を目指すインデックスファンド等の中には、購入時手数料が0円(ノーロード)で、信託報酬も年率0.1540%〜0.1980%程度に抑えられた商品も存在します。

出典:丸三証券株式会社|国内投資信託のリスク・手数料一覧表

つまり、「手数料が高いからやめたほうがいい」のではなく、「手数料体系を理解し、コストに見合った商品を選ぶ必要がある」というのが正確な現実です。

長期投資における「元本割れ」の傾向

「元本割れ=悪」と捉えられがちですが、投資期間によってリスクの現れ方は異なります。 ニッセイ基礎研究所のレポートによると、過去のデータを用いて毎月2万円を積立投資した場合、以下の試算結果が出ています。

  • 投資期間10年の場合: すべての投資対象(国内・海外の株式・債券)で元本割れするケースが発生しました。一方で、米国株式型へ投資した場合の最終時価の平均値は投資元本の1.79倍でした。
  • 投資期間20年の場合: 国内株式型を除き、元本割れするケースはなくなりました。さらに、米国株式型の最終時価の平均値は投資元本の2.81倍に達し、最大値では3,000万円になったという試算結果が出ています。

このデータは、「短期間では損失のリスクがあるが、20年以上の長期運用を行えば、元本割れの可能性は減少し、リターンが期待できる傾向がある」ことを示唆しています。ただし、これらはあくまで過去のデータであり、将来の成果を保証するものではない点には注意が必要です。

出典:ニッセイ基礎研究所|過去のデータから学ぶ長期投資

短期的な変動と長期視点

2024年8月、日経平均株価が過去最大の下落幅を記録するなど、市場は常に変動します。しかし、過去のデータ分析によれば、株価急落時に慌てて損切りせず、長期保有を継続した方が良い結果につながる可能性が高いとされています。短期的な変動は投資のプロセスの一部であり、長期的な資産形成においては「通過点」と捉える視点が重要です。

向いていない人の特徴

データに基づけば有効な手段になり得る投資信託も、すべての人に適しているわけではありません。以下のような特徴を持つ人には、投資信託は不向きである可能性があります。

短期で確実なリターンを求めている人

「数ヶ月で資産を増やしたい」「絶対に損をしたくない」という考えを持つ人には、投資信託は適していません。投資信託は元本保証がなく、短期的な市場変動の影響を直接受けます。「確実に儲かる」「絶対に安全」といった商品は存在しません。

元本割れへの耐性が極端に低い人

一時的にでも資産評価額がマイナスになることに強いストレスを感じる人は、リスク性商品への投資を控えるべきです。生活資金や、近いうちに使う予定のある資金を投資に回すと、暴落時に精神的な余裕を失い、損失を確定させる形で売却せざるを得なくなるリスクがあります。

仕組みやコストを学ぶ気がない人

「ランキング上位だから」「勧められたから」という理由だけで、中身を理解せずに購入するのは避けるべきです。前述の通り、同じような投資対象でも信託報酬等のコストには倍以上の差がある場合があります。最低限の知識を持とうとしない場合、自身の目的と合わない高コストな商品を選択してしまう可能性があります。

向いている人の特徴

一方で、以下のような目的やスタンスを持つ人にとって、投資信託は合理的な資産形成手段となります。

目的が老後資金や長期の資産形成にある人

10年、20年という長い時間をかけて資産を形成したい人には適しています。ニッセイ基礎研究所のデータが示す通り、投資期間が長くなればなるほど、複利効果や市場の成長による資産増加が期待できるためです。

リスクを分散しながら増やしたい人

特定の1社の株に集中投資するのではなく、複数の地域や資産に分散してリスクを抑えたい人に適しています。例えば、世界中の株式に投資するファンドや、株式と債券を組み合わせたバランスファンドなどを活用することで、個別の倒産リスクなどを低減できます。

積立投資の仕組みを理解している人

「毎月定額を淡々と積み立てる(ドル・コスト平均法)」ことのメリットを理解している人は、市場が下落した際も「多くの口数を購入できる機会」と冷静に捉えることができます。感情に流されず、ルール通りに運用を継続できる姿勢が、長期投資の成功には不可欠です。

よくある後悔とその対策

最後に、投資信託を始めてから「やめたい」と思わないための、よくある失敗パターンとその対策を紹介します。

失敗1:手数料の高い商品を保有し続けている

対策: もし保有している商品の信託報酬が高く(例えば年率1.5%以上など)、そのコストに見合うパフォーマンスが得られていないと感じる場合は、ポートフォリオの見直しを検討しましょう。現在は低コストなインデックスファンド(ノーロードファンド)など、選択肢は豊富にあります。ただし、乗り換えには税金や手数料がかかる場合があるため、慎重な判断が必要です。

失敗2:暴落時に焦って売却してしまった

対策: 市場の急落時にパニックになって売却(損切り)してしまうのは、典型的な失敗例です。過去のデータでは、暴落後も市場が回復し、長期的には成長してきた歴史があります。暴落時は積立を停止せず、淡々と継続することが、結果的に平均購入単価を下げることにつながります。

失敗3:リスクを取りすぎている

対策: 「夜も眠れない」ほどの不安を感じる場合、それは自身のリスク許容度を超えています。株式ファンドの比率を下げ、債券ファンドや現金の比率を高める「リバランス」を行うことを検討しましょう。無理のない範囲で継続することが、長期投資を成功させる鍵です。

まとめ

投資信託は「やめたほうがいい」という意見は、主に高コストな商品や短期的な損失リスクに対する懸念から生じています。しかし、データが示す現実は以下の通りです。

  • 20年以上の長期投資では、元本割れのリスクが低減し、資産が増加する傾向が見られた(過去データ)。
  • 商品選びによって、手数料などのコストは低く抑えることが可能である。

投資信託は「やめたほうがいい」ものではなく、「仕組みを理解し、目的に合った商品を選べば有効な手段」と言えます。

重要なのは、周囲の意見や一時的な市場の動きに惑わされるのではなく、「自分の目的とリスク許容度」を正しく把握することです。ご自身のライフプランに合わせ、専門的なアドバイスが必要な場合は、ファイナンシャル・プランナー等の専門家に相談することも一つの選択肢です。

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※本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の勧誘・推奨を目的とするものではありません。投資の最終決定はご自身の判断で行ってください。

※使用したデータは過去の実績であり、将来の運用成果を保証するものではありません。