「マイホームを購入したいが、使える補助金が多すぎて何が自分に当てはまるのか分からない」「結局、自分たちはいくら得できる?」
住宅購入を検討し始めた際、多くの方がこのような悩みに直面します。住宅購入には、国が主導する補助金、税制上の優遇措置、そして各自治体が独自に行う支援策が混在しており、情報が非常に複雑化しているのが現状です。また、これらは年度ごとに予算や条件が見直されるため、最新情報を追うだけでも一苦労です。
しかし、これらの制度を正しく理解し活用することで、数百万円単位で総支払額が変わる可能性があります。本記事では、2025年(令和7年)度を中心とした代表的な制度を整理し、ご自身の状況に合わせて「使える制度」を探すための手順を明らかにします。
結論
まず全体像を把握するために、住宅購入の支援策を大きく3つのカテゴリーに分けて理解しましょう。
- 補助金(国):要件を満たす住宅の建築・購入・リフォームに対して、国から現金が給付される制度。
- 税制優遇(国):住宅ローン控除や、各種税金の軽減措置など、支払う税金が安くなる(または戻ってくる)制度。
- 自治体独自支援:お住まいの都道府県や市区町村が独自に行っている補助金や利子補給制度。
特に近年は、少子化対策やカーボンニュートラル(脱炭素)の観点から、「子育て世帯・若者夫婦世帯」や「省エネ性能の高い住宅」に対する優遇が手厚い傾向にあります。すべての制度を完璧に暗記する必要はありません。「自分の世帯属性と購入する物件の条件で、どの引き出しが開けられるか」をチェックすることが重要です。
住宅購入補助が分かりにくい理由の整理
住宅購入の補助金制度が「カオス状態」と言われる背景には、いくつかの理由があります。
- 条件がバラバラ:制度ごとに「対象年齢」「子どもの有無」「世帯年収」「住宅の床面積」「省エネ性能」などの要件が異なります。
- 対象物件の違い:「新築のみ対象」のものもあれば、「中古住宅の購入+リフォーム」で使えるものもあります。
- 国と自治体の二重構造:国の制度に加え、自治体が独自の予算で行う事業があるため、自力ですべてを網羅的に把握するのは困難です。
また、昨今のトレンドとして、新築価格の高騰やライフスタイルの変化により、20代〜30代の間でも中古物件を購入してリノベーションしたり、コンパクトな住宅を選んだりして「自分らしい暮らし」を追求する動きが活発化しています。
こうした背景を受け、リフォームに関する補助や、中古住宅取得時の支援も拡充されています。自分らしい暮らしを追求しながら、賢く制度を利用する視点が求められています。
国の主な補助金・税制優遇の整理
ここでは、国土交通省等の資料に基づき、代表的な国の支援制度を整理します。

① 補助金(子育て・省エネ関連)
2025年度(令和7年度)も、省エネ性能の高い住宅に対する支援制度は継続されています。代表例として「子育てグリーン住宅支援事業」があり、エネルギー価格高騰の影響を受けやすい子育て世帯等を対象に、ZEH水準など高い省エネ性能を備えた新築住宅の取得や、既存住宅の省エネ改修を支援する制度です。
なお、2026年度からは事業名が変更となり、「みらいエコ住宅2026事業」として実施される予定です。
② 住宅ローン減税(税制優遇)
住宅ローンを利用して住宅を取得した場合、年末のローン残高の0.7%が所得税(一部、翌年の住民税)から控除される制度です。
- 控除期間:新築・買取再販の場合は最大13年間(中古住宅は10年間)
- 借入限度額:住宅の環境性能(長期優良住宅、ZEH水準など)に応じて異なります。
③ 各種税金の軽減措置
住宅購入時には消費税以外にも様々な税金がかかりますが、以下のような軽減措置が用意されています。
- 登録免許税:登記にかかる税金の税率軽減(令和9年3月31日まで)。
- 不動産取得税:住宅や土地を取得した際にかかる税金の軽減(令和8年3月31日まで)。
- 固定資産税:新築住宅等について、一定期間税額が減額されます(令和8年3月31日まで)。
④ フラット35S・フラット35リノベ(金利引下げ)
全期間固定金利の住宅ローン「フラット35」において、省エネ性や耐震性などに優れた住宅の場合、一定期間金利を引き下げる「フラット35S」や、中古住宅購入とリフォームをセットで行う場合の「フラット35リノベ」などのプランがあります。
自治体の住宅購入補助の探し方・チェックポイント
国の制度とは別に、自治体独自の補助金も存在します。これらは予算上限に達すると早期に終了することもあるため、事前の調査が不可欠です。
自治体支援の例
例えば埼玉県内の場合、以下のような支援策が見られることがあります(※自治体により異なります)。
- 住宅取得資金の補助:初めて住宅を購入する際、頭金や諸費用の一部を補助。
- 省エネ補助金:県内で省エネ対策を施した住宅を購入・改修する場合の補助。
このように「県」単位の制度だけでなく、「市町村」単位でも独自の移住支援金や子育て世帯向け住宅取得補助を行っている場合があります。
効率的な探し方と手順
- 検索ワードを工夫する:「〇〇市 住宅補助」「〇〇県 移住支援金」「〇〇市 子育て 住宅取得」などで検索します。
- 県と市の両方を確認:県の制度と市の制度を併用できる場合があるため、必ず両方の自治体サイトを確認してください。
- 物件探しと並行する:多くの補助金には申請期限や「契約前の申請が必要」などの条件があります。物件が決まってからでは手遅れになるケースもあるため、物件探しと同時並行で情報収集を行いましょう。
モデルケース別:補助金・減税の組み合わせ例
ご自身の状況に近いケースで、どのような制度が組み合わさるかイメージしてみましょう。
※あくまで一例であり、実際の適用可否は個別の要件によります。
ケースA:子育て世帯(30代夫婦+子ども1人)で新築を購入
最も優遇が手厚い層です。
- 補助金:「子育てグリーン住宅支援事業」などで、省エネ住宅取得に対する補助を活用。
- 税制:「住宅ローン減税」を最大13年間適用。さらに、父母や祖父母から資金援助を受ける場合は「贈与税非課税措置」も検討できます。
- 自治体:お住まいのエリアで「子育て世帯定住促進奨励金」などがないか確認します。
ケースB:共働きDINKs(子どもなし)で省エネマンションを購入
- 税制:「住宅ローン減税」がメインの恩恵となります。購入物件が「長期優良住宅」や「低炭素住宅」の認定を受けていれば、借入限度額の上限が引き上げられ、減税メリットが大きくなる可能性があります。
- 融資:「フラット35S」を利用し、当初の金利負担を軽減する等の選択肢があります。
ケースC:実家近くの中古住宅を購入してリノベーション
- 補助金:「長期優良住宅化リフォーム推進事業」や「住宅・建築物省エネ改修推進事業」など、リフォーム費用に対する補助を活用。
- 税制:一定の省エネ改修を行った場合、「省エネリフォーム税制」により所得税や固定資産税の控除が受けられます。
- 融資:「フラット35リノベ」を活用し、中古購入+改装費用の金利を引き下げ。
利用者の声・よくある“もったいないケース”
制度を十分に理解していなかったために、受け取れるはずのメリットを逃してしまう「もったいないケース」も散見されます。
- 申請期限を過ぎてしまった:多くの補助金には予算枠があり、年度途中で受付終了となることがあります。また、「着工前に申請が必要」というルールを知らず、工事を始めてしまってから気づくケースもあります。
- 条件を満たさないリフォームをしてしまった:「窓の断熱改修なら補助金が出る」と思って工事したが、使用したサッシが補助金の対象製品(グレード)ではなかった、という失敗例です。
- 数十万円の差が出た:購入後に近隣の自治体では数十万円の手厚い移住支援金があったことを知り、「隣の市にしておけばよかった」と後悔するケースもあります。
早めに情報を押さえ、不動産会社やリフォーム会社と「この補助金を使いたい」と相談しておくことが重要です。
よくある質問(FAQ)
Q. 補助金・減税は全部併用できるの?
A. 基本的に「国の補助金」と「税制優遇(ローン控除)」は併用可能です。また、「国の補助金」と「自治体の単独予算による補助金」も併用できるケースが多いです。
ただし、国の補助金同士の併用(例:同じ工事箇所に対して複数の国庫補助を受けること)は原則としてできません。詳細は各制度の窓口で確認が必要です。
Q. 収入が高いと使えない制度はある?
A. はい、あります。例えば「住宅ローン減税」には所得制限(合計所得金額2,000万円以下など)が設けられています。
出典:国税庁|合計所得金額2,000万円の判定
Q. 中古住宅やマンションでも使える?
A. 使えます。中古住宅であっても、住宅ローン減税(期間10年)や不動産取得税の軽減措置、リフォーム一体型の補助金などが存在します。
Q. いつ誰に相談するのがいい?
A. 本格的に物件を探し始める段階で相談するのがベストです。不動産会社の担当者やファイナンシャル・プランナー(FP)、またはハウスメーカーの営業担当者に「資金計画」の相談をする際、あわせて利用可能な制度について確認してみましょう。
まとめ
住宅購入で使える補助金や減税制度は多岐にわたり複雑ですが、「自分の条件(世帯属性・年収・購入物件の性能)で何が使えるか」を早めにチェックすることで、資金計画に大きなゆとりが生まれます。
重要なのは、「制度ありきで家を選ぶ」のではなく、「自分たちが住みたい家・叶えたい暮らし」を明確にした上で、「使える制度を最大限活用する」という順序です。
まずは、気になるエリアの自治体情報や、検討している物件がどの省エネ基準を満たしているかを確認することから始めてみてはいかがでしょうか。
