世帯年収600万円でマイホームの購入を検討する際、「最大でいくらまで住宅ローンを借りられるのか」「無理なく返済できる額はどのくらいか」と悩む方は多いのではないでしょうか。住宅ローンの借入額は、今後の家計やライフプランに大きな影響を与えます。
本記事では、年収600万円の人が組める住宅ローンの上限額や適正額の考え方、借入期間・金利別の返済シミュレーションをわかりやすく解説します。当メディアの独自アンケートから見えた、同収入層のリアルな住居費の実態もあわせて紹介しますので、資金計画の参考にしてください。
年収600万円で住宅ローンはいくらまで借りられる?上限額と適正額
住宅ローンを検討するうえで、金融機関の審査に通りやすい「借入上限額」と、家計を圧迫せずに支払い続けられる「適正借入額」は異なるという点を知っておくことが大切です。借入可能額の上限いっぱいまで借りてしまうと、将来のライフイベントや金利変動によって返済が苦しくなるリスクが高まります。安全な資金計画を立てるための指標について解説します。
借入上限の目安は「年収の5〜8倍(約3,000万〜4,800万円)」
金融機関が住宅ローンの融資額を審査する際、購入する住宅価格が年収の何倍にあたるかを示す「年収倍率」が一つの基準となります。一般的に、無理なく借り入れできる限度額は年収の5〜8倍程度とされており、年収600万円の場合は約3,000万円から4,800万円が目安となります。
住宅金融支援機構の調査によると、住宅ローン利用者の全国平均の年収倍率は、マンションで7.0倍、土地付注文住宅で7.5倍、建売住宅で6.7倍となっています。年収の7倍前後まで借り入れている人が多い傾向にありますが、審査基準は金融機関によって異なるため、あくまで目安として捉えておきましょう。
出典:住宅金融支援機構「2024年度 フラット35利用者調査」
手取り額から考える!無理なく返せる適正額は「返済負担率20〜25%以内」
「借りられる額」ではなく「無理なく返せる額」を算出するには、年収に占める年間返済額の割合である「返済負担率(返済比率)」を用います。金融機関の審査では返済負担率30〜35%を上限とすることが多いですが、家計に余裕をもたせるためには「手取り額の20〜25%以内」に収めるのが理想的です。
年収600万円の場合、税金や社会保険料を差し引いた手取り額は約460万〜490万円程度になります。手取り額に対して返済負担率を20〜25%に設定した場合、月々の適正な返済額は約8万円〜10万円前後となります。この返済額から逆算して借入額を決めることが、安全な資金計画の第一歩です。
【独自調査】年収600万円世帯の住宅ローン・住居費のリアルな実態
シミュレーション上の目安だけでなく、実際の同収入層がどのような家計管理をしているのか気になる方も多いでしょう。ここでは、当メディアが実施した独自アンケート結果である世帯年収または本人年収が600万円台の方のデータをもとに、リアルな住居費や住宅ローンの利用状況についてご紹介します。
アンケートから見る、年収600万円層の毎月のリアルな住居費
年収600万円の場合、手取り額から計算した適正な返済額は月々8万〜10万円程度と解説しましたが、実際のアンケート回答を見ても、毎月の住居費や住宅ローン返済額、家賃を「5万円〜15万円」の範囲に収めている方が大部分を占めました。
一部には月20万円近い住居費を支払っている世帯もありますが、多くの方は将来の教育費や老後資金の積み立てNISAやiDeCoなども考慮し、家計にゆとりをもたせた堅実な金額設定をしていることがうかがえます。
持ち家世帯の「住宅ローンを組んでいる割合」と「組んでいない割合」
同アンケートにて持ち家にお住まいの方の住宅ローン利用状況を確認したところ、「現在住宅ローンを組んで返済中」という世帯が多い一方で、「住宅ローンを組んでいない 完済している、または現金等で購入している」という世帯も一定数存在していることが分かりました。
年収600万円であれば数千万円単位のローンを組むことが可能ですが、自己資金をしっかりと準備して借入額を減らしたり、無理なローンを背負わない選択をしたりするなど、それぞれのご家庭のライフスタイルにあわせた選択が行われているようです。
頭金はいくら用意すべき?入れるメリットとデメリット
住宅購入時に悩みがちなのが、「頭金をいくら入れるか」という点です。近年は頭金なし フルローン でも借りられる住宅ローンが増えていますが、頭金の有無は今後の返済額に直結します。ご自身の貯蓄状況にあわせて、メリットとデメリットを比較検討しましょう。
頭金の目安は物件価格の「3割」
一般的に、住宅を購入する際の頭金の目安は「物件価格の3割割程度」と言われています。例えば、4,000万円の物件を購入する場合、1,200万円程度の頭金を用意する計算になります。
国土交通省の調査データを見ても、土地付の新築注文住宅を購入した世帯の自己資金比率(頭金)などの割合 は平均30.6%となっており、3割程度の頭金を用意して住宅を購入している人が多いことがわかります。金融機関によっては、頭金を一定割合入れることで、適用される金利が優遇されるケースもあります。
出典:国土交通省「令和4年度 住宅市場動向調査 報告書」
頭金を入れることで毎月の返済額や総利息はどう変わる?
頭金を入れる最大のメリットは、住宅ローンの借入金額が減ることで月々の返済額が下がり、完済までに支払う利息の総額も抑えられる点です。借入額が少なくなれば、審査にも通りやすくなります。
一方でデメリットは、手元に残る現金が減ってしまうことです。住宅の購入時には、不動産会社への仲介手数料や登記費用、引っ越し代などの「諸費用」が別途かかります。手元の貯金をすべて頭金につぎ込んでしまうと、病気や急な出費に対応できなくなるリスクがあるため、生活防衛資金 生活費の数か月分など は必ず残したうえで頭金の額を決めることが大切です。
年収600万円の住宅ローン返済シミュレーション
借入金額や返済期間、金利タイプをどう選ぶかによって、月々の返済額や総支払額は大きく変わります。ここでは、いくつかのモデルケースを用いて具体的な返済シミュレーションを行います。ご自身の適正な予算と照らしあわせながら確認してみてください。
【借入金額・期間別】月々の返済額と総支払額の比較
例えば、借入金額3,900万円、変動金利0.375% 借入期間中金利が変わらないと仮定、ボーナス払いなしの条件で借入期間別にシミュレーションすると以下のようになります。
・35年返済:月々約9.9万円(総返済額 約4,163万円)・30年返済:月々約11.4万円(総返済額 約4,125万円)・25年返済:月々約13.6万円(総返済額 約4,087万円)
返済期間を最長の35年に設定すれば、月々の返済額を10万円以下に抑えることができます。期間を短くすれば利息の総額は減りますが、毎月の負担が重くなるため、家計とのバランスに注意が必要です。
【金利タイプ別】変動金利と固定金利で負担はどう変わる?
金利タイプによる違いもシミュレーションしてみましょう。借入金額3,900万円、返済期間35年の場合での比較です。
・変動金利(0.375%と仮定):月々約9.9万円・全期間固定金利(0.940%と仮定):月々約10.9万円
変動金利は現在の適用金利が低いため、月々の返済額や初期の負担を抑えやすいという特徴があります。一方で全期間固定金利は、借入時から完済まで金利が変わらないため、将来の返済計画が立てやすいという安心感がメリットです。変動金利を選ぶ場合は、将来金利が上昇して返済額が増えるリスクへの備えとして貯蓄などが必要になります。
「元利均等返済」と「元金均等返済」の違い
住宅ローンの返済方式には「元利均等返済」と「元金均等返済」の2種類があります。
「元利均等返済」は、毎月の返済額 元金+利息 が一定になる方式です。返済計画が立てやすく、当初の返済負担を抑えられるため、多くの方がこちらを選んでいます。
「元金均等返済」は、毎月返済する「元金」の額を一定にする方式です。返済当初の支払額は最も高くなりますが、元金が早く減るため、元利均等返済に比べて総返済額 支払う利息を少なく抑えられるというメリットがあります。
借入可能額が希望より少ない場合の対処法
購入したい物件の価格に対して、単独での借入可能額が届かない場合や、より余裕をもった予算設定にしたい場合、共働き世帯ならではの対処法があります。夫婦の収入をあわせることで借入額を増やす方法と、その注意点を解説します。
共働きなら「ペアローン」や「収入合算 連帯債務・連帯保証 」を検討する
夫婦の収入を合算してローンを組む方法には、主に「ペアローン」と「収入合算」があります。
ペアローンは、夫婦それぞれが住宅ローンを契約する方法です。借入額を増やせるだけでなく、夫婦双方が住宅ローン控除を受けられるメリットがあります。ただし、契約が2本になるため事務手数料等の諸費用が2倍かかります。
収入合算は、1本の契約で夫婦の収入をあわせる方法で「連帯債務型」と「連帯保証型」があります。契約は1本で済むため諸費用は抑えられますが、連帯保証型の場合は配偶者が住宅ローン控除や団体信用生命保険の対象外となる点に注意が必要です。
出産・育児・退職など、ライフイベントの変化に伴うリスクには要注意
夫婦の収入をあわせて借入額を上限まで引き上げた場合、将来のライフイベントによるリスクを十分に考慮する必要があります。
例えば、女性の妊娠・出産に伴う産休や育休、あるいはパートナーの退職・転職、親の介護などで、一時的に一人の収入が減ったり途絶えたりする可能性があります。その場合でも住宅ローンの返済額は変わらないため、家計が急激に苦しくなる恐れがあります。将来どちらか一方が働けなくなるケースも想定し、余裕をもたせた借入額に設定することが大切です。
年収600万円で「ローン破綻」を避けるための返済計画のポイント
せっかくマイホームを手に入れても、毎月の返済で生活がギリギリになってしまっては元も子もありません。住宅ローン破綻を避けるためには、物件購入費用以外の出費や、将来の家計の変化を見越した長期的なライフプランニングが不可欠です。
住宅購入後のランニングコスト(税金・管理費・修繕費等)を見込む
住宅購入後には、ローンの返済とは別にさまざまな維持費が継続して発生します。
毎年支払う「固定資産税」や「都市計画税」のほか、火災保険料や地震保険料がかかります。マンションを購入した場合は、毎月の「管理費」や「修繕積立金」、駐車場代などが必要です。一戸建ての場合でも、将来の外壁塗装や屋根の補修などに備えて、月に数万円程度は自分で修繕費を積み立てておくのがセオリーです。これらを月々の予算に組み込んでおくことが重要です。
子どもの教育費や老後資金とのバランスを考慮する
人生の三大支出と言われる「住宅資金」「教育資金」「老後資金」は、バランス良く準備することが求められます。
年収600万円世帯において、住宅ローンに多くのお金を回しすぎると、子どもが大学に進学するタイミングなどで教育費が不足してしまうリスクがあります。また、住宅ローンの完済年齢が定年退職後 65歳以降などに設定されている場合、年金生活に入ってからの返済負担が重くのしかかります。目先の返済額だけでなく、教育費のピークや老後の生活まで見据えた資金計画を立てましょう。
住宅ローン控除などの優遇制度を活用して負担を抑える
住宅ローンの返済負担を軽減するために、国や自治体の制度を積極的に活用しましょう。代表的なものが「住宅ローン控除 住宅借入金等特別控除」です。
これは、年末時点での住宅ローン残高の一定割合 0.7%などが、原則13年間にわたって所得税や住民税から差し引かれるという制度です。一定の省エネ基準を満たした住宅など、条件によって控除の上限額が変わるため、ご自身の購入予定物件がどのような要件に当てはまるのか、事前に不動産会社や金融機関に確認しておくことをおすすめします。
まとめ:借入上限額ではなく「安全に返せる額」で予算を決めよう
年収600万円の場合、年収の5〜8倍にあたる3,000万円〜4,800万円程度が住宅ローンの借入目安となります。しかし、「審査に通って借りられる額」と「無理なく安全に返していける額」は異なります。
将来の金利上昇リスクや、子どもの教育費、住宅の維持費などを総合的に考慮し、手取り額に対する返済負担率を20〜25%以内に抑えた資金計画を立てることが重要です。シミュレーションをうまく活用し、ご自身のライフプランにあった余裕のある予算設定で、理想のマイホーム探しを進めてください。
【本記事の独自アンケート調査概要】
・調査目的:年収600万円等を中心とした個人の資産状況や住居費に関する実態調査
・調査対象:全国の男女・有効回答数:170名
・調査期間:2026年1月〜2026年2月
・調査方法:インターネット調査
・主な調査項目:年代、家族構成、本人・配偶者の年収、住居費、住宅ローンの利用有無など
