学資保険っておすすめしないって本当?
子どもの教育資金準備として、かつては「定番」だった学資保険。しかし最近、ネットやSNSなどで「学資保険はおすすめしない」「入らない方がいい」という声を見かけることが増えました。教育資金の準備を検討している方にとって、このような意見は不安になるものです。
結論からお伝えすると、「おすすめしない」と言われる理由は、学資保険の特徴とご家庭の状況(家計や貯蓄スタイル)のミスマッチにあります。学資保険自体が悪い商品というわけではありませんが、経済環境の変化により、かつてほどの優位性が薄れているのは事実です。
本記事では、「なぜおすすめしないと言われるのか」その理由やデメリットの真偽、利用者の声、そして他の選択肢(NISAなど)との比較を通じて、客観的な判断軸を整理します。これから始める方はもちろん、現在加入中の方にとっても役立つ情報をお届けします。
結論:学資保険は「誰でもお得」な訳ではない
まず、この記事全体の大枠となる結論を整理します。 学資保険は、「誰にとってもお得で最適な選択肢」とは言えなくなってきています。
• インフレに弱く、将来の受取額の「実質的な価値」が目減りするリスクがある。
• 途中で解約すると「元本割れ(支払った額より戻ってくる額が少ない)」になりやすい。
• 返戻率(支払った保険料に対する受取総額の割合)が、昔に比べて低下している。
これから教育資金の準備を始める場合、投資信託を活用する「NISA」などの選択肢の方が、資金の流動性や期待リターンの面で合理的なケースが多いのが現状です。 なお、現在18歳未満は新NISAを利用できませんが、過去に存在した「ジュニアNISA」に代わる新たな未成年向け非課税制度の創設を求める議論も一部で始まっており、今後の動向が注目されています。
一方で、「すでに学資保険を契約中の方」は、ネット上の「おすすめしない」という声に焦って安易に解約するのは推奨しません。中途解約による元本割れリスクを考慮し、満期までの残年数や家計状況を冷静に確認することが重要です。
学資保険とは?初心者向けに一言で説明
学資保険とは、一言で表すと「教育費を計画的に貯めるための、保障付きの定期預金」のようなイメージです。
毎月一定額の保険料を支払い、子どもが大学入学などのタイミング(18歳など)を迎えると、まとまった「満期保険金」や「進学祝金」を受け取れます。最大の強みは、契約者(親)に万が一(死亡・高度障害)のことがあった場合、それ以降の保険料の支払いが免除され、満期時には予定通りの金額を受け取れるという保障機能がついている点です。 柔軟性や高いリターンよりも、「決まった時期に決まった金額を確実に用意したい」という確実性を優先する家庭に向けた仕組みと言えます。
なぜ「おすすめしない」と言われるのか(理由の整理)
では、なぜ「おすすめしない」という声が目立つのでしょうか。代表的な理由は以下の5つです。
- 返戻率が低い: かつての高金利時代と異なり、現在は支払った金額に対して増える割合が小さくなっています。
- インフレに弱い: 契約時に将来受け取る金額が固定されるため、世の中の物価や学費が上がっても受取額は増えません。
- 中途解約で大きく元本割れする: 特に契約から5年未満などで解約すると、支払った額の7〜8割程度しか戻ってこないケースがあります。
- 保障部分が中途半端: 万が一の保障は「その後の保険料免除」に限られ、親の死亡時にすぐ現金が手に入るわけではありません。
- 代替手段の方が自由度が高い: NISAなどの投資制度が普及し、そちらの方が流動性(引き出しやすさ)や期待リターンに優れているという見方が広まりました。
デメリットの真偽を検証(データで見る実態)
これらのデメリットは本当でしょうか。データに基づき検証します。
① インフレと教育費の増加
総務省の消費者物価指数データや、文部科学省の調査データを見ても、物価や大学の授業料は長期的に上昇傾向にあります。将来、設定した満期金(例:200万円)の価値が、物価上昇によって「実質的に150万円程度の価値」に目減りしてしまうインフレリスクは実際に存在します。
② 返戻率の実態
各保険会社のデータを見ると、一般的な契約条件における返戻率は「100%〜105%前後」に留まるものが多いのが実態です。例えば、第一生命の「こどもの学資保険」は100〜102%、日本生命の「ニッセイ学資保険」は102%〜105.7%程度とされています。 明治安田生命の「つみたて学資」(〜127.4%)やソニー生命の「学資保険」(最大123.5%)のように返戻率が高い商品もありますが、これらは「保険料を10歳までに全額払い終える(短期払い)」といった条件を満たした場合の最大値であり、月々の家計負担は大きくなります。
③ 元本割れリスク
学資保険の途中解約による元本割れは事実です。特に契約から初期(5年未満)に解約すると、保険会社の運営経費などが差し引かれるため、大きな損失となります。
利用者のリアルな声(口コミと定性・定量データ)
口コミサイト等で見られる数百件のリアルな声(傾向)を整理すると、賛否がはっきりと分かれています。
• ネガティブな声:
◦ 「15年払い続けても数万円しか増えず、返戻率が思ったより低かった」
◦ 「家計が苦しくなり中途解約しようとしたが、損をするので無理して続けている」
• ポジティブな声:
◦ 「給料から自動で引き落とされるので、貯金が苦手な自分でも確実に貯まった」
◦ 「投資のような値動きがないため、精神的に安心できた」
定量的なアンケート調査の傾向としても、「強制的に貯められる点」に満足している人がいる一方で、途中で解約を検討した経験がある人の多くが「元本割れ」を理由に解約を思いとどまっている実態が見受けられます。
学資保険が向いている家庭・向かない家庭
ここまでの特徴を踏まえ、学資保険との相性を整理します。
向いている家庭
• 強制力がないと貯められない(貯金が苦手)
• 元本確保の安心感を何より重視したい
• 家計が安定しており、満期までの長期払いが確実に可能
• (契約中の場合)教育費の必要時期まで残り5年以内である(解約すると元本割れするため、継続する合理性が高い)
向かない家庭
• 資金を自由に使いたい(途中で引き出す可能性がある)
• インフレリスクを理解し、資産の実質的な目減りを防ぎたい
• 家計の収入に変動がある(保険料の支払いが滞るリスクがある)
• 投資リテラシーがあり、NISAなどを活用して効率的に運用したい
教育費の現実(数字で理解する目標額)
文部科学省の調査によると、幼稚園から大学(私立文系)まですべて進学した場合、教育費の総額は子ども1人あたり約700万〜900万円程度かかるとされています。特に大学入学時には、初年度納入金などで一気にまとまった資金(100万〜200万円以上)が必要です。
学費が上昇傾向にある中、学資保険の「固定された受取額」だけでは不足する可能性があります。自分がいくら必要なのかを把握し、学資保険だけで用意するのか、他の手段と組み合わせるのかを検討することが重要です。
学資保険以外の選択肢(NISA等との比較)
教育資金を準備する手段は、学資保険だけではありません。
• 積立預金:
◦ 特徴: いつでも引き出せて元本割れしない(流動性が高い)。
◦ 懸念: 金利が低いため全く増えず、インフレにも弱い。
• 新NISA(つみたて投資枠など):
◦ 特徴: 投資信託等で運用し、得られた利益が非課税になる。長期運用によりインフレに負けないリターンが期待できる。途中で引き出すことも可能。
◦ 懸念: 元本保証がないため、相場によっては必要な時期(18歳等)に資産が目減りしている変動リスクがある。
• iDeCo(個人型確定拠出年金):
◦ 特徴: 強力な節税効果がある。
◦ 懸念: 原則60歳まで引き出せないため、教育資金の準備には不向き。
「これから始める」のであれば、流動性と期待リターンの観点から、NISAを利用したつみたて投資を教育資金準備のメインに据える考え方が、近年では合理的とされています。
家庭ごとの賢い選択(判断フロー)
学資保険がご自身の家庭に合っているか、以下のフローで冷静に判断してみてください。
1. これから準備を始める場合:
◦ 「元本割れリスクを許容してでも、インフレ対策として増やしたい」→ NISAなどの投資を検討
◦ 「投資は絶対にやりたくない。確実に天引きで貯めたい」→ 学資保険や積立預金
2. すでに学資保険を契約中の場合:
◦ 満期まで残り数年である、または解約すると大きく元本割れする → 安易に解約せず、継続を優先するのが一般的
◦ まだ契約したばかりで、将来の家計負担やインフレが不安 → 解約時の損失額を確認し、今後の保険料総額とNISA等での運用期待値を比較して慎重に判断する
よくある疑問(FAQ)
Q. 学資保険って今からでも入って良いですか?
A. 「どうしても貯金ができない」「親の万が一に備える機能が欲しい」という目的が明確であれば選択肢になります。ただし、インフレリスクへの対策として、全額を学資保険にするのではなく、一部をNISA等の運用に回すといった分散を検討するのが一般的です。
Q. 途中でやめたらどうなりますか?
A. 支払った保険料の総額よりも、戻ってくる金額(解約返戻金)が少なくなる「元本割れ」になる可能性が非常に高いです。特に契約初期ほど損失割合が大きくなります。
Q. 教育資金もNISAにした方が良いですか?
A. 長期的なリターンを期待するならNISAは有力な選択肢です。ただし、NISAには「相場の変動リスク」があります。「大学入学費用」のように絶対に減らしたくない資金は学資保険や預金で確保し、「それ以上の余裕資金」をNISAで運用するといった使い分けが有効です。
Q. 子どもが複数人いるときはどうすればいいですか?
A. 複数人分の学資保険に入ると毎月の固定費(保険料)が大きく膨らみ、家計を圧迫するリスクが高まります。下の子の分はNISAで運用しながら柔軟に引き出せるようにするなど、準備方法を分けるのも有効な考え方です。
まとめ:賢い選択は「教育費の時期」と「家計の安定性」で決まる
学資保険は「おすすめしない」と言われることもありますが、それは絶対的な悪というわけではなく、インフレや流動性の面で「現代のニーズと合わなくなってきている側面がある」ためです。
• これから始めるなら: NISAなどの投資制度を活用する方が、変化への対応力があり合理的な選択肢になり得ます。
• いま契約中の場合: インフレリスクはありますが、途中解約による「確定した損失(元本割れ)」を被るよりは、継続して確実な資金として確保する方が望ましいケースも多々あります。
教育資金の準備に「唯一の正解」はありません。ご家庭の家計状況、貯蓄の得意・不得意、そして「いつまでにいくら必要か」を冷静に見極め、ご自身の価値観に合った方法を選択してください。
ここまで読んで、少しでも「自分は大丈夫だろうか」と感じた方へ。
将来の不安は見えないことから生まれます。逆に言えば、今の状況が整理できるだけでも、次に何をすべきかは見えてきます。あなたの収入・支出・貯蓄状況をもとに、今の立ち位置をチェックしてみませんか?

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免責事項 本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の金融商品や保険商品の勧誘、解約の推奨、あるいは投資助言を行うものではありません。掲載している返戻率やデータは記事執筆時点のものであり、契約条件により異なります。ご契約や見直しに関する最終的な判断は、お客様ご自身の責任において行っていただきますようお願いいたします。
