クレジットカードの不正利用被害額は近年増加傾向にあり、券面情報の盗み見(ショルダーハッキング)やネット決済でのフィッシング詐欺が主な原因です。この記事では、券面ナンバーレス・3Dセキュア2.0・タッチ決済・利用通知など「セキュリティが強い」と評価できるクレジットカードの選び方と、代表的なカード7選を紹介します。
編集部の結論:セキュリティ重視ならナンバーレスカード+通知アプリの組み合わせが有力
編集部の見解として、セキュリティを重視するなら「券面ナンバーレス」「3Dセキュア2.0対応」「アプリでリアルタイム利用通知」の3つを満たすカードが最適な選択肢です。三井住友カード(NL)、三菱UFJカードVIASO(NL)、エポスカードなどが代表例に該当します。
セキュリティ要素 | 役割 |
|---|---|
券面ナンバーレス | スキミング・盗み見対策 |
3Dセキュア2.0 | ネット決済の本人確認 |
タッチ決済 | 暗証番号・サイン不要で券面情報の露出を減らす |
ICチップ | 磁気ストライプよりスキミング耐性が高い |
アプリ利用通知 | 不正利用の早期発見 |
不正利用補償 | 被害額を後日補償 |
- 券面ナンバーレスは物理対策として有効:飲食店で店員に見られても番号が読めない
- 3Dセキュア2.0は必須:2025年4月以降、加盟店側にも導入義務化
- アプリ通知はセキュリティの要:不正利用を数分以内に発見できれば被害を最小化できる
- 不正利用補償は各社標準装備:60日以内の申告で通常補償される
- 絶対に安全なクレカは存在しない:仕組みを理解し複数の対策を重ねる意識が重要
クレジットカードの不正利用被害の実態
被害総額は年々増加傾向
一般社団法人日本クレジット協会の発表によると、日本国内のクレジットカード不正利用被害額は近年増加傾向にあり、特にネットショッピングでの「番号盗用」が全体の9割超を占めています。物理的なスキミング被害は減っているものの、フィッシング詐欺・情報漏えい経由の被害が拡大しています。
主な不正利用のパターン
- フィッシングメール・SMSからの偽サイト誘導
- 大手ECサイトの情報漏えい経由
- スキミング(券面写真の盗み撮り含む)
- 盗難・紛失後の不正使用
- 家族・知人による無断使用
不正利用時の補償
カード会社は原則、届出から60日以内であれば不正利用分の補償を受けられます(各社利用規約による)。ただし本人の重大な過失(暗証番号を紙に書いて一緒に保管等)がある場合は補償されないこともあります。
セキュリティが強いカードを見分ける6つの要素

券面ナンバーレス
券面に番号を印字しないナンバーレスカードは、店員・店内カメラ・後ろに並ぶ人など、物理的な盗み見リスクを大幅に減らせます。番号はアプリでのみ確認できる仕組みで、飲食店等で預けても番号情報が流出しにくくなります。三井住友カード(NL)が普及の先駆けです。
3Dセキュア2.0対応
3Dセキュア2.0(EMV 3-D Secure)は、ネット決済時の本人認証を強化する国際規格です。カード会社が過去の利用パターンや端末情報を分析し、リスクが高いと判定した場合のみ追加認証を求める仕組みで、旧3Dセキュア1.0より利便性・安全性ともに向上しています。経済産業省は2025年3月末までに全加盟店への導入を要請しました。
タッチ決済(コンタクトレス決済)
Visaのタッチ決済・Mastercardコンタクトレスは、端末にカードをかざすだけで決済が完了する仕組みです。カード情報はトークン化され都度別の番号として送信されるため、決済時に本物のカード番号が漏れるリスクを下げられます。券面をタッチ端末に近づける必要すらなく、盗み見リスクも減ります。
ICチップ搭載
ICチップは磁気ストライプよりスキミング耐性が高く、日本のクレカは2020年以降ほぼすべてがIC対応済みです。海外のATMや古い加盟店では磁気ストライプが使われるケースもあるため、暗証番号は他人に知られないよう管理が必要です。
アプリでのリアルタイム利用通知
Vpass(三井住友カード)、楽天e-NAVI、エポスNet等のアプリでは、決済のたびにプッシュ通知が届きます。不正利用があった場合、数分以内に気付いてカードを停止できれば被害を最小限に抑えられます。「セキュリティが強いカード」を選ぶうえで、通知機能の使い勝手は重要な判断軸です。
不正利用補償の適用条件
各社とも「発覚から60日以内の申告」を条件に、原則として不正利用分は補償されます。ただし本人の重過失があると認定されると補償対象外になるため、暗証番号の管理と早期発見の意識が欠かせません。補償の申告先は各社の紛失・盗難ダイヤルです。
セキュリティが強いおすすめクレジットカード7選
三井住友カード(NL)
「NL(ナンバーレス)」の名前どおり、券面から番号・氏名・有効期限まで消したナンバーレスカードの代表例です。番号はVpassアプリでのみ確認できます。年会費永年無料、3Dセキュア2.0対応、タッチ決済対応、Vpassでのリアルタイム通知等、セキュリティに関わる主要機能が全て揃っています。
三井住友カード ゴールド(NL)
NLシリーズのゴールドグレードです。年間100万円以上利用で翌年以降年会費永年無料になる特典が話題で、セキュリティ性能はスタンダードNLと同等以上、加えてゴールド専用の海外旅行傷害保険が付帯します。
三菱UFJカードVIASOカード(NL)
2024年に片面ナンバーレス化されたVIASOカードです。年会費永年無料、自動キャッシュバック方式で管理が楽なのが特徴です。三菱UFJニコスの不正利用検知システム「MUFGカードWEBサービス」で通知・利用状況確認ができます。
エポスカード
年会費永年無料、券面情報の一部が非表示のセキュリティ設計、エポスNetアプリでのリアルタイム通知が特徴です。海外旅行傷害保険が自動付帯される点も評価が高く、セキュリティと海外旅行対応の両方を求める層に人気です。
楽天カード
券面ナンバーレスではありませんが、楽天e-NAVIでのリアルタイム通知、3Dセキュア2.0対応、不正検知システムが充実しています。年会費永年無料、還元率1.0%と使いやすさの上でセキュリティ機能も揃っているのが強みです。
PayPayカード
2023年からナンバーレス発行にも対応し、PayPayアプリでのリアルタイム通知が特徴です。PayPayとの連携が強く、コード決済でカード番号を直接使わない仕組みが自然に組めます。
アメリカン・エキスプレス・ゴールド・プリファード・カード
アメックスは独自のセキュリティ検知システムに定評があり、不正利用を早期検知する体制が業界内でも高く評価されています。年会費は高いものの、24時間365日の日本語コンシェルジュサービス・空港カード紛失時の緊急再発行等、いざという時のサポートは他社ゴールドを上回ります。
ユーザー側でできるセキュリティ対策
アプリ通知は必ずONにする
カード会社のアプリで利用通知をONにしておけば、決済のたびに通知が届きます。身に覚えのない通知が来たらすぐカード停止できるため、通知OFFで放置するのはもったいない設定です。
3Dセキュア対応を有効にする
ネットショッピング時の3Dセキュア(本人認証パスワード等)を必ず有効化します。3Dセキュア2.0対応カードなら、リスクスコアリングにより追加認証は必要なときのみ求められる仕組みなので、日常の使い勝手はほぼ変わりません。
券面情報を写真に撮らない・SNSに載せない
券面を写真に撮ってスマホに保存したり、旅行中の投稿にうっかり写り込んだりすると、そこから番号が流出します。ナンバーレスカードならリスクは下がりますが、通常券面カードでは特に注意が必要です。
公共Wi-Fiでのネット決済を避ける
暗号化されていない公共Wi-Fiでは通信が傍受される可能性があります。カフェや空港での決済は、モバイル回線かVPN経由で行うのが安全です。
怪しいメール・SMSのリンクを踏まない
「カードが不正利用されました」「支払いが未完了です」等のフィッシングメール・SMSは巧妙化しています。リンクからログインするのではなく、必ず公式アプリ・公式サイトを直接開いて確認しましょう。
不正利用に気付いたら
Step1:カードを即時停止
カード会社のアプリまたは電話でカードを停止します。三井住友カードのVpassなら数タップで一時停止でき、24時間受付の紛失・盗難ダイヤルもあります。
Step2:カード会社へ被害連絡
不正利用があった旨をカード会社に連絡し、調査を依頼します。この際、身に覚えのない利用明細のスクリーンショット等を控えておくとやり取りがスムーズです。
Step3:警察への被害届
被害金額が大きい場合、警察への被害届が必要になることがあります。カード会社の指示に従って手続きします。
Step4:カード再発行
調査完了後、新しいカード番号で再発行されます。定期支払いを登録している場合は新カードでの登録変更が必要です。
よくある質問(FAQ)
Q. セキュリティが最も強いクレカはどれですか?
単純に順位付けするのは難しいですが、券面ナンバーレス+3Dセキュア2.0+リアルタイム通知の3点が揃った三井住友カード(NL)、三菱UFJカードVIASO(NL)、エポスカード等が高い水準にあります。加えて不正検知の精度に定評があるアメックスもセキュリティ重視層に人気です。
Q. ナンバーレスカードのデメリットはありますか?
「番号確認のたびにアプリを開く必要がある」点が主なデメリットです。ネット決済で番号を入力する際、都度アプリでの確認が必要で、暗証番号やAppleウォレット等の登録も別途必要です。慣れれば大きな不便ではありません。
Q. 3Dセキュア2.0はどうやって有効化しますか?
多くのカード会社では、Web会員サイト・アプリから「本人認証サービス」の項目で3Dセキュアの設定を行います。多くの場合、生体認証やSMSワンタイムパスワード方式が選べます。旧3Dセキュア(パスワード方式)からのアップグレードは自動で行われるカードもあります。
Q. 補償を受けられないケースはありますか?
暗証番号を家族に教えていた、暗証番号をカードと一緒に保管していた、盗難を60日以上気付かなかった等、本人の重大な過失があると補償対象外になることがあります。また家族による無断使用は補償対象外になるケースが多いため注意が必要です。
Q. アメックスはなぜセキュリティが高いと言われるのですか?
アメリカン・エキスプレスは自社独自の不正検知システムを長年運用しており、機械学習ベースのリスクスコアリング精度が高いと言われています。海外での不正利用を素早く検知し、多くの場合利用者が気付く前にカード会社側で異常を検出してくれる点が支持されています。
Q. スマホに券面情報を保存しても大丈夫ですか?
Apple Pay・Google Pay等の公式ウォレット(トークン化された仕組み)は比較的安全ですが、スマホのメモアプリ・写真アプリに券面写真を保存するのは避けるべきです。スマホ紛失・アプリ乗っ取り時に情報漏えいするリスクがあります。
Q. 不正利用対策として何枚もカードを持つ意味はありますか?
ネット決済用と実店舗用を分けたり、サブスク専用カードを持ったりする「用途分離」はセキュリティ対策として有効です。1枚のカードで全ての支払いを行うと、そのカードが漏えいした際の影響が大きくなるためです。管理が煩雑にならない範囲で2〜3枚に分けるのが目安です。
免責事項:本記事は情報の提供のみを目的としており、特定のクレジットカードの推奨や、勧誘を目的としたものではありません。掲載しているセキュリティ機能・補償内容は2026年7月時点の一般的なものであり、各カード会社の規約改定により変更される場合があります。ご利用は必ずご自身のご判断と責任において行っていただきますようお願いいたします。

