証券口座を開設しようとして手が止まるのは、多くの場合、手順そのものではありません。手元にある本人確認書類の組み合わせで開設できるのか、選んだ方法によって取引開始までどのくらいかかるのか、といった点が分からず立ち止まってしまうケースがほとんどです。
この記事では、証券口座の開設手続きを進めている人向けに、本人確認書類の組み合わせ、本人確認方法ごとの所要日数、ネット証券と店舗型証券会社の手続き上の違い、主婦・学生・未成年・海外在住者の開設可否まで、実務的なポイントに絞って解説します。証券口座を初めて作る段階の基本的な手順や証券会社の選び方は、証券口座の作り方を4ステップで解説|必要なもの・口座の種類・つまずきやすいポイントも紹介で確認できます。まだ証券会社を決めていない場合は、ネット証券おすすめランキングもあわせてご覧ください。
結論|証券口座の開設で迷うのは「書類の組み合わせ」と「所要日数」
証券口座の開設手続きは、申込み、本人確認書類の提出、審査という流れ自体はどの証券会社でも大きく変わりません。読者が実際に止まるのは、次の2点です。
1つ目は、手元にある本人確認書類でそのまま開設できるのかが分からないことです。マイナンバーカードの有無や、通知カードしかない場合の扱いは、必要な書類の組み合わせに直結します。
2つ目は、選んだ本人確認の方法によって、取引を始められるまでの日数が大きく変わることです。オンラインでの提出なら最短で翌営業日から取引を始められますが、郵送を伴う方法では書類の到着後さらに数営業日かかるうえ、郵送そのものの日数も加わります。
以下では、この2点を中心に、証券会社を選ぶ段階では気づきにくい実務的なポイントを確認していきます。
自分はどのパターン?本人確認書類の組み合わせ早見表
証券会社によって細かな違いはありますが、多くのネット証券に共通する組み合わせの考え方は次のとおりです。
手元にあるもの | 追加で必要なもの | 開設方法の目安 |
|---|---|---|
マイナンバーカードのみ | 追加の書類は不要な場合が多い | スマートフォンで撮影してアップロード(ネット完結) |
マイナンバーの通知カード+運転免許証などの顔写真付き書類 | 通知カードの記載住所・氏名が現住所と一致していること | ネットまたは郵送(会社により対応が異なる) |
通知カードなし、またはマイナンバー記載の住民票の写し | 顔写真付き書類1種類、または顔写真なし書類2種類 | 郵送での申込みが必要になる場合が多い |
顔写真付き書類がない(保険証など) | 顔写真なし書類を2種類用意する | 郵送での申込みが必要になる場合が多い |
たとえばSBI証券の公式サイトでは、マイナンバーカードを1種類提出する場合はほかの本人確認書類が不要である一方、通知カードや住民票の写しを使う場合は本人確認書類をあわせて2種類提出する必要があると案内されています(SBI証券公式サイト、2026年8月時点)。大和証券のように、マイナンバーカード・通知カード・住民票の写しのどれを使うかで4パターンの組み合わせを案内している会社もあります(大和証券公式サイト、2026年8月時点)。細かな組み合わせは証券会社ごとに異なるため、申込み前に公式サイトで最新の案内を確認してください。
本人確認の方法ごとに開設までの日数はこう変わる
本人確認の方法は、大きく分けて「スマートフォンでの撮影・アップロード(eKYC)」「郵送」の2つです。方法によって開設までの日数が大きく変わります。
本人確認の方法 | 必要なもの | 開設までの目安 |
|---|---|---|
オンラインで書類を撮影・アップロード(ネット完結) | マイナンバーカード、または通知カード+本人確認書類 | 最短で翌営業日から取引開始 |
本人確認書類を郵送で提出 | 顔写真付き書類1種類、または顔写真なし書類2種類 | 証券会社に書類が到着してから3営業日程度 |
たとえばSBI証券の公式サイトでは、ネットでの口座開設を選んだ場合は取引開始まで最短翌営業日、郵送での口座開設を選んだ場合は本人確認書類が到着してから3営業日程度かかると案内されています(SBI証券公式サイト、2026年8月時点)。郵送の場合はこれに加えて書類の往復にかかる日数も見込む必要があるため、オンラインでの提出に比べて申込みから取引開始まで日数がかかりやすい点は覚えておくとよいでしょう。その日のうちに取引を始めたいのであれば、オンラインでの本人確認が最も早い方法になります。
NISA口座を同時に開設すると手続きはどう変わるか
証券口座を開設する際、特定口座とあわせてNISA口座も同時に申し込むのが一般的です。同時に申し込んでも、本人確認書類や基本的な入力項目が追加で必要になるわけではありません。
以前はNISA口座の開設に、税務署による二重口座でないことの確認を待つ必要があり、申込みから取引開始まで2〜3週間程度かかっていました。しかし2019年1月の制度変更により、税務署の確認を待たずにNISA口座を開設して取引を始められるようになっています(金融庁「NISA口座の申込から取引開始までの期間短縮について」、2026年8月時点)。二重口座でないかの確認は口座開設後に行われ、万が一他の金融機関で既にNISA口座を持っていたことが判明した場合は、NISA口座で買い付けた商品が買付日にさかのぼって課税口座に移されることになっています。そのため、NISA口座をどの証券会社で開設するかは、事前に決めておくことが望ましいといえます。
すでに他の金融機関でNISA口座を開設している場合は、金融機関を変更する手続きが必要になり、新規開設よりも日数がかかることがあります。
ネット証券と店舗型、開設手続きそのものはどう違うか
証券会社は大きく分けて、オンライン中心のネット証券と、店舗を持つ証券会社の2種類があります。開設手続きの観点で見ると、次のような違いがあります。
ネット証券は、申込みから本人確認、初期設定まですべてオンラインで完結する会社が多く、来店の必要がありません。手続きにかかる時間は短く、eKYCに対応していれば最短で翌営業日から取引を始められます。一方で、手続きの途中で分からないことがあっても、対面で相談することはできません。
店舗を持つ証券会社は、オンライン申込みに加えて、窓口での申込みや相談ができる点が特徴です。書類の書き方や商品選びについてその場で質問できる安心感がありますが、来店の予約や待ち時間が発生する分、開設までの日数はオンライン完結の場合より長くなりやすくなります。
主なネット証券の開設方法と目安日数を整理すると、次のようになります。
証券会社 | 開設方法 | 開設までの目安 |
|---|---|---|
オンライン申込(スマホでの本人確認、または画像アップロード)、郵送にも対応 | スマホでの本人確認なら最短即日、画像アップロードは最短3営業日程度 | |
オンライン申込、郵送にも対応 | オンラインは最短翌営業日、郵送は書類到着後3営業日程度 | |
オンライン申込、郵送にも対応 | オンラインは最短翌営業日、郵送は1週間〜10日程度 | |
オンライン申込(スマホでの本人確認、または書類アップロード) | スマホでの本人確認は最短翌営業日、書類アップロードは5営業日程度 | |
オンライン申込(スマホでの撮影、または画像アップロード) | スマホでの撮影は最短翌営業日、画像アップロードは最短4営業日程度 | |
オンライン申込(ダイレクトコース)に加え、来店や郵送での相談(総合コース)にも対応 | オンラインは最短即日〜3営業日程度、来店・郵送は日数がかかりやすい | |
オンライン申込(マイナンバーカードでの本人確認) | 最短翌営業日、通常1〜3営業日程度 | |
オンライン申込(アプリで完結) | 最短2営業日程度 | |
オンライン申込(スマホで完結) | 最短翌営業日 | |
オンライン申込(画像アップロード)、郵送にも対応 | 郵送の場合、書類到着後1週間程度 |
この10社の中では、SMBC日興証券が来店・対面での相談に対応している点が特徴的で、ほかの多くはオンライン申込のみ、または郵送を選べても来店窓口は持たない構成になっています。日数はいずれも申込内容に不備がない場合の目安であり、繁忙期や書類の不備によって前後することがあります。詳しい条件は各社の公式サイトで確認してください。
どちらが向いているかは、手続きをできるだけ早く終えたいか、対面での説明を受けながら進めたいかによって変わります。急いで取引を始めたい場合はオンライン完結の方法を、初めての手続きに不安がある場合は窓口での相談ができる証券会社を選ぶ、という考え方になります。
属性別|主婦・学生・未成年・海外在住は開設できるか

証券口座の開設可否は、属性によって条件が変わります。申込み前に確認しておきたいポイントを整理します。
主婦(収入がない場合)は、職業の入力欄に専業主婦(主夫)という選択肢が用意されており、収入がなくても開設できる証券会社が多くあります。ただし、一部の証券会社では金融資産の要件を設けている場合があるため、公式サイトで確認しておくと安心です。
学生は、18歳以上であれば成人として自分の判断で口座を開設できます。2022年4月の民法改正により成年年齢が18歳に引き下げられたため、18歳以上の学生は親権者の同意がなくても通常の口座を開設できます。
未成年(18歳未満)は、通常の口座ではなく未成年口座での開設になります。たとえばSBI証券では、取引主体を親権者とすることで0歳の子どもでも未成年口座を開設できると案内されています(SBI証券公式サイト、2026年8月時点)。未成年口座の開設には、親権者自身がその証券会社に口座を持っていることや、親権者の同意書類が必要になるのが一般的です。年齢の下限や必要書類の細かい条件は証券会社によって異なるため、申込み前に公式サイトで確認してください。
海外在住者(非居住者)は、多くの証券会社で新規の口座開設ができません。国内の証券会社は日本国内に居住している人を対象にサービスを提供しているためです。マネックス証券のように、非居住者の取引を受託していないと公式に明記している会社もあります(マネックス証券公式サイト、2026年8月時点)。海外赴任などで住民票を抜いて非居住者になる予定がある場合は、出国前に証券会社へ確認しておく必要があります。
書類・手続きでつまずいたときの対処
書類の組み合わせや所要日数を把握していても、実際の手続きでは細かい部分でつまずくことがあります。
本人確認書類に記載された住所が現住所と違う
通知カードや免許証の記載内容が最新の住所になっているかを確認してください。引っ越し後に住所変更をしていないと、審査で差し戻される原因になります。
マイナンバーカードでの読み取りがうまくいかない
スマートフォンでの撮影時の反射や角度が原因になっていることがあります。何度も失敗する場合は、暗証番号の入力ミスでロックがかかっていないかも確認してください。ロックがかかると市区町村の窓口での解除が必要になり、その日のうちの開設は難しくなります。
郵送で申込んだ書類に不備があった
証券会社から返送または連絡が来て、再提出が必要になります。記入漏れや書類のコピー不備は、開設までの日数が延びる主な原因になるため、投函前に記載内容と添付書類を見直しておくと手戻りを防げます。
証券口座の開設に関するよくある質問
Q. 本人確認書類はどれを使うのが一番早いですか
A. マイナンバーカードを1種類、スマートフォンで撮影してアップロードする方法が最も早く、最短で翌営業日から取引を始められる会社が多くあります。
Q. 通知カードしか持っていない場合はどうすればいいですか
A. 通知カードの記載住所・氏名が現住所と一致していれば、運転免許証などの顔写真付き書類とあわせて提出できる場合があります。記載内容が古い場合は、郵送での申込みが必要になることがあります。
Q. NISA口座だけを後から追加できますか
A. 特定口座の開設後にNISA口座だけを追加で申し込むこともできます。ただし、最初にまとめて申し込んだほうが手続きの回数を減らせます。
Q. 店舗のある証券会社でもオンライン申込みはできますか
A. 会社によって異なりますが、店舗を持つ証券会社でもオンライン申込みに対応しているところは多くあります。手続き方法を選べるかどうかは、各社の公式サイトで確認してください。
Q. 未成年口座から成人口座への切り替えに手続きは必要ですか
A. 多くの証券会社では、18歳の誕生日を迎えると自動的に成人口座へ切り替わり、追加の手続きは不要です。詳しい取り扱いは開設している証券会社に確認してください。
まとめ
証券口座の開設でつまずきやすいのは、手順そのものではなく、手元にある本人確認書類で開設できるかどうかと、選んだ方法によって取引開始までの日数がどう変わるかという2点です。オンラインでの本人確認であれば最短で翌営業日から、郵送を伴う場合は書類到着後の処理日数に郵送日数が加わる分、余裕を持って申込みのタイミングを考えておくと安心です。
NISA口座を同時に開設する場合は、今は税務署の確認を待たずに取引を始められる仕組みになっている一方、二重口座であることが後から判明すると買付済みの商品が課税口座に移されるため、どの証券会社でNISA口座を開設するか事前に決めておく必要がある点、ネット証券と店舗型証券では手続きにかかる時間と相談のしやすさに違いがある点、主婦・学生・未成年・海外在住者では開設できる条件が異なる点も、事前に押さえておくと手続きの途中で止まりにくくなります。
基本的な開設の流れや証券会社の選び方から確認したい場合は、証券口座の作り方を4ステップで解説もあわせてご覧ください。
免責事項
本記事は情報提供を目的としており、特定の証券会社・金融商品の勧誘を目的としたものではありません。投資には元本割れを含むリスクが伴い、利益を保証するものではありません。記事内で紹介した本人確認書類の組み合わせ・所要日数・開設条件は2026年8月時点で各社公式サイトに掲載されていた情報を基にしており、内容が変更される場合があります。実際の口座開設にあたっては、各証券会社の公式サイトで最新情報をご確認のうえ、ご自身の判断と責任において行ってください。

