友人やパートナーと話していて「自分の金銭感覚はおかしいのかもしれない」と感じたり、相手のお金の使い方に戸惑ったりすることがあります。ただ、金銭感覚には正解が1つあるわけではなく、何と比べるかで「おかしい」の中身は変わります。
感覚だけで判断すると、必要な支出まで削ったり、相手を一方的に責めたりすることにつながりかねません。
そこで、自分の金銭感覚を家計の数字で確かめる3つの物差しと、パートナーとずれているときの話し合い方を、総務省の家計調査と編集部の独自調査をもとに整理します。
結論|「おかしい」かは、収入・貯蓄・借入の3つの数字で確かめる
金銭感覚は、育ってきた環境や収入、何にお金をかけたいかによって人それぞれです。高い買い物をすること自体や、節約を徹底すること自体が問題なのではありません。
金銭感覚が「おかしい」かどうかは、誰と比べるかで変わります。自分の家計の数字で確かめると、判断がぶれません。
- 物差し1:手取りの収入より多く使っていないか
- 物差し2:毎月、貯蓄に回せているか
- 物差し3:支払いのために借入や後払いに頼っていないか
- パートナーとずれているときは、責める前にお互いの数字をそろえて話し合う
- 整えるときは、先取り貯蓄と固定費の見直しから始める
こんなとき | まず確かめること | 理由 |
|---|---|---|
自分の使い方が気になる | 手取りに対して、毎月いくら使っているか | 使いすぎかどうかは、金額だけでなく収入との比で見る必要があるため |
貯金が増えない | 毎月、貯蓄に回している額 | 収入の範囲内で暮らせていても、貯蓄がないと急な出費に対応しにくいため |
パートナーとずれている | 2人の手取り・共通の支出・貯蓄の目標 | 数字がそろうと、感覚の違いを具体的に話し合いやすいため |
金銭感覚とは|人によって違って当たり前な理由
金銭感覚は、ある金額を「高い」「安い」と感じる基準や、どこにお金をかけてどこを削るかという判断のくせのことです。同じ1万円でも、収入や暮らしの状況、大切にしているものによって感じ方は変わります。
お金の管理のしかたも人によって違います。ITトレンドMoney編集部は2025年に、全国の個人939名を対象にWebアンケートを行い、家計管理の性格タイプを尋ねました。
家計管理の性格タイプ | 割合 |
|---|---|
ざっくり予算派(大まかに管理) | 48.1% |
感覚で何となく派(ほとんど管理しない) | 23.5% |
細かくきっちり派(1円単位で把握) | 15.1% |
管理はおまかせ派(家族・パートナー任せ) | 13.3% |
この調査では、1円単位で把握している人は15.1%で、大まかに管理している人が48.1%でした。細かく管理する人から見ると大まかな人は「どんぶり勘定」に、大まかな人から見ると細かい人は「細かすぎる」に見えることがあります。
管理のしかたの違いは、それだけで良し悪しが決まるものではありません。どのタイプでも、家計が回っているかどうかを数字で確かめられれば、不安を減らせます。
調査の詳細は【独自調査】939人の家計管理|家計簿30.6%と"先取り貯蓄"実践42.5%の実態をご覧ください。
自分の金銭感覚を確かめる3つの物差し
ここからは、自分の家計の数字で金銭感覚を確かめる方法です。直近3か月分の給与明細、銀行口座の入出金明細、クレジットカードの利用明細を手元に用意すると、計算しやすくなります。
物差し1:手取りの収入より多く使っていないか
最初に確かめるのは、手取りの収入に対して、毎月いくら使っているかです。1か月の支出の合計を手取りの収入で割ると、収入のうち何割を使っているかが分かります。
比べる材料として、総務省の家計調査(2025年平均)があります。二人以上の世帯のうち勤労者世帯では、可処分所得が月532,408円、消費支出が月346,297円でした。
可処分所得に対する消費支出の割合を「平均消費性向」と呼び、この世帯区分では65.0%です。ただし、これは勤労者世帯の平均で、家族の人数や暮らし方によって異なります。平均と同じである必要はなく、自分の割合が100%を超えていないか、前の年より上がっていないかを見るのが目的です。
物差し2:毎月、貯蓄に回せているか
収入の範囲内で暮らせていても、毎月の残りがほとんどない場合は、急な出費や収入の減少に対応しにくくなります。2つ目の物差しは、手取りの収入のうち、毎月どれだけ貯蓄に回せているかです。
家計調査では、可処分所得から消費支出を差し引いた額を「黒字」と呼びます。2025年平均の二人以上の世帯のうち勤労者世帯では、黒字が月186,111円で、可処分所得に対する黒字の割合(黒字率)は35.0%でした。
ITトレンドMoney編集部は2025年に、全国の働く世代の個人760名を対象にWebアンケートを行いました。給与に満足していない552名のうち40.8%が、その理由に「生活費で手一杯、貯蓄まで回らない」を挙げています(複数回答)。
貯蓄に回せる額が少ないと感じたら、使い方の問題なのか、固定費が大きいのかを分けて考えると、次に何をするかが見えてきます。
調査の詳細は【独自調査】760人の給与満足度|不満48.1%と"貯蓄できない"50.4%の実態をご覧ください。
物差し3:支払いのために借入や後払いに頼っていないか
3つ目の物差しは、今月の支払いを、借入や後払いで先送りしていないかです。クレジットカードのリボ払いや分割払い、カードローンなどの残高を書き出し、3か月前と比べて増えていないかを確かめます。
計画して使っている分割払いを除いて、残高が増え続けている場合は、今の収入では賄えていない支出がある可能性があります。1つ目と2つ目の物差しで問題がないように見えても、支払いを先送りしている分は、その月の支出の合計に表れにくいため、残高も合わせて確かめます。
金銭感覚がずれて見えやすい場面
数字で確かめると問題がないのに、「おかしいのでは」と不安になることがあります。そう感じやすいのは、比べている相手や状況が変わったときです。
収入や暮らしが違う人と比べたとき
友人や同僚、SNSで見かける人の暮らしぶりは、収入も家族構成も自分とは違います。同じ買い物でも、収入が違えば家計に占める重さは変わります。他人と比べて不安になったときは、物差し1〜3で自分の家計に当てはめ直すと、判断を取り戻せます。
収入や生活が変わったとき
昇給や転職、結婚、出産、引っ越しなどで収入や生活が変わると、以前の金銭感覚のままでは家計が合わなくなることがあります。収入が増えたときに支出も一緒に増えていないか、減ったときに支出を合わせられているかを確かめます。
支払い方法が増えたとき
現金、クレジットカード、電子マネー、コード決済など支払い方法が増えると、何にいくら使ったかをまとめて把握しにくくなります。
ITトレンドMoney編集部の調査(2025年・全国の個人939名)では、家計簿を「つけている」人は30.6%でした。つけていない人と以前つけていた人(全体の69.4%)のうち、32.1%が理由に「キャッシュレス決済が多く記録が複雑」を挙げています(複数回答)。
家計簿をつけていなくても、口座とカードの明細を月に1回まとめて見るだけで、使った額の合計はつかめます。
パートナーと金銭感覚がずれているとき|責める前に数字をそろえる
パートナーの使い方に違和感があっても、「金銭感覚がおかしい」と伝えると、相手が否定されたと受け取ることがあります。どちらの感覚が正しいかを決めるより、2人の家計が回るかどうかを一緒に確かめる形にすると、話し合いが進めやすくなります。
お互いの数字を出し合う
まず、2人それぞれの手取りの収入、毎月決まって出ていく支出、今の貯蓄の額を出し合います。その上で、物差し1〜3を2人の家計全体に当てはめると、感覚の違いが家計にどれくらい影響しているのかが見えてきます。
何にお金をかけたいかを出し合う
金銭感覚のずれの背景には、お金をかけたいものの違いがある場合があります。外食や旅行、趣味、住まいなど、それぞれが大切にしたいものを書き出し、優先順位をすり合わせます。
共通の支出と自由に使うお金を分ける
家賃や食費、貯蓄など2人で負担するお金と、それぞれが自由に使えるお金を分けておくと、自由に使う範囲の中での使い方には口を出さずに済みます。貯蓄の目標額と毎月の額を先に決めておくと、残りを自由に使える額として考えやすくなります。
家計を片方に任せている場合も、月に1回は2人で数字を確かめる時間をとると、どちらか一方だけが不安を抱える状態を避けられます。
金銭感覚を整える方法|先取り貯蓄と固定費の見直し
物差しで確かめて見直したい点が見つかったら、意志の力に頼らずに済む仕組みから整えると続けやすくなります。
先取り貯蓄で、使う前に貯める
給料が入ったらすぐに一定額を別の口座に移す先取り貯蓄にすると、残った額の中で暮らす形になり、物差し2を満たしやすくなります。ITトレンドMoney編集部の調査(2025年・全国の個人939名)では、42.5%が「毎月自動的に貯蓄・投資に回している」と答えました。選択肢は貯蓄と投資をまとめたものです。
固定費を見直して、毎月の支出を下げる
通信費や保険料、サブスクなどの固定費は、契約やプランを一度見直すと、その後も支出が下がった状態が続きます。物差し1の割合を下げる方法の1つです。
見直す順番の決め方は固定費の見直しは何から?6項目の順番と、解約・乗り換え前の確認点で紹介しています。
急な出費への備えを先に決める
急な出費への備えがないと、そのたびに借入や後払いに頼りやすくなり、物差し3に影響します。備えの額の考え方は生活防衛資金はいくら必要?公的給付から考える月数の決め方と置き場所で紹介しています。
金銭感覚についてよくある質問
Q. 自分の金銭感覚がおかしいかどうか、どう判断すればよいですか?
他人と比べるより、自分の家計の数字で確かめます。手取りより多く使っていないか、毎月貯蓄に回せているか、支払いのために借入や後払いに頼っていないか、の3つを見ると判断しやすくなります。
Q. 収入の何割を使っていれば普通ですか?
一律の基準はありません。参考として、家計調査(2025年平均)の二人以上の世帯のうち勤労者世帯では、可処分所得に対する消費支出の割合(平均消費性向)は65.0%でした。家族の人数や暮らし方によって異なるため、平均との差より、自分の割合の変化を見るのが目的です。
Q. パートナーの金銭感覚が合わないときは、どうすればよいですか?
どちらが正しいかを決めるより、2人の手取り・支出・貯蓄を出し合い、家計が回るかを一緒に確かめます。その上で、共通の支出と自由に使うお金を分けると、お互いの使い方を尊重しやすくなります。
Q. 節約しすぎも金銭感覚がおかしいのでしょうか?
節約そのものは問題ではありません。ただ、必要な食事や医療、人付き合いまで削って生活に支障が出ている場合は、何のために貯めているのかを確かめ、目標額に対して無理のない貯め方に見直す余地があります。
まとめ|金銭感覚は、比べる相手ではなく自分の数字で確かめる
金銭感覚は人それぞれで、他人と違うこと自体が「おかしい」わけではありません。判断の分かれ目は、手取りの範囲で暮らせているか、貯蓄に回せているか、借入や後払いに頼っていないかの3つです。
パートナーとのずれは、どちらかを責めるより、数字をそろえて一緒に家計を確かめると話し合いやすくなります。
次のステップは、直近3か月分の明細から、手取りの収入・毎月の支出・借入の残高の3つを書き出すことです。
関連記事:
出典(公的統計):総務省統計局「家計調査報告 家計収支編 2025年(令和7年)平均結果の概要」(PDF)
出典(調査):ITトレンドMoney編集部 独自調査(各調査の概要は本文に記載)
免責事項:本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品やサービスの勧誘や推奨を行うものではありません。掲載している統計の内容は記事執筆時点(2026年9月)のものです。家計の状況は個人によって異なるため、最終的な判断は、お客様ご自身の責任において行っていただきますようお願いいたします。

