食費や日用品を切り詰めても、思ったほどお金が残らないことがあります。そんなときに見直す候補になるのが、毎月ほぼ同じ額が出ていく固定費です。一度見直すと、その効果が翌月以降も続きます。
一方で、固定費の中には、解約すると保障がなくなる保険や、乗り換えに費用がかかる住宅ローンのように、見直し方を誤ると損につながるものもあります。
対象にするのは、通信費・サブスク・水道光熱費・保険料・住居費・車の維持費の6項目です。見直す順番の決め方と、解約・乗り換えの前に確認する点を、公的機関の情報と編集部の独自調査をもとに整理します。
結論|固定費は「効果・手間・失うもの」で順番を決めて見直す
固定費の見直しは、節約できる額が大きいものから手をつければよいとは限りません。額が大きい住居費や保険料は、手続きの手間や、見直しで失うもの(保障や費用)も大きくなりやすいためです。
固定費は、効果の大きさだけでなく「手間」と「見直しで失うもの」も合わせて比べると、順番を決めやすくなります。
- まず口座とカードの明細から、毎月決まって出ていく支出を書き出す
- 失うものが少なく手間も小さいサブスク・水道光熱費・通信費から始める
- 保険料は、解約・乗り換えの前に保障の重なりと新しい契約の条件を確かめる
- 住居費と車は効果が大きい一方、費用や生活への影響も大きいため、時間をかけて検討する
- 浮いたお金は、先取り貯蓄で別の口座に移すと手元に残りやすい
こんな人に | 最初に見る項目 | 理由 |
|---|---|---|
まず手軽に始めたい人 | サブスク、通信費 | 契約内容を確認して、使っていないサービスやプランを見直すだけで始められる |
毎月の保険料が気になる人 | 保険料 | 保障の重なりが見つかれば効果が大きいが、解約の前に確認することが多い |
住宅ローンを返済中の人 | 住居費(借り換え) | 金利と残高によっては効果が大きいが、借り換えの費用がかかる |
固定費とは|変動費との違いと、見直しの効果が続く理由
固定費は、家賃や住宅ローン、保険料、通信費、サブスクの利用料など、毎月ほぼ同じ額が出ていく支出です。食費や日用品、交際費のように、月によって額が変わる支出は変動費と呼ばれます。
水道光熱費は使った量で額が変わりますが、毎月必ず出ていく支出で、電気のように契約先や料金プランを選べるものもあるため、固定費と一緒に見直すことが多い項目です。
変動費の節約は、毎月の買い物のたびに意識し続ける必要があります。これに対して固定費は、契約やプランを一度変えれば、その後は何もしなくても支出が下がった状態が続きます。たとえば毎月3,000円下がれば、1年で36,000円です。
ITトレンドMoney編集部は2025年に、全国の個人495名を対象にWebアンケートを行いました。物価高で家計が「苦しくなった」と答えた人は37.1%、「やや苦しくなった」は38.1%で、合わせて75.2%でした。
調査の詳細は【独自調査】基礎控除引き上げ|495人の物価高で家計苦しい75.2%をご覧ください。
見直す前に|口座とカードの明細から固定費を書き出す
固定費を見直す最初の一歩は、毎月何にいくら出ていっているかを書き出すことです。固定費の多くは口座振替やクレジットカードで自動的に支払われているため、明細を見ないと気づきにくい支出があります。
明細から書き出す手順
直近3か月分の銀行口座の入出金明細とクレジットカードの利用明細を並べ、毎月同じ時期に同じ額が出ていくものに印をつけます。年払いの保険料や会費など、年に1回だけ出ていく支出も、12で割って月額に直すと比べやすくなります。
書き出した支出は、「契約している会社・サービス」「月額」「最後に内容を見直した時期」「最近使ったか」の4つを並べた表にすると、見直す候補が見えてきます。
家計簿がなくても始められる
ITトレンドMoney編集部が2025年に全国の個人939名を対象に行ったWebアンケートでは、家計簿を「つけている」と答えた人は30.6%でした。家計簿を「つけていない」人と「以前はつけていた」人(回答者全体の69.4%)に理由を尋ねると、最も多いのは「面倒で手間がかかる」の60.4%でした。「キャッシュレス決済が多く記録が複雑」も32.1%あります(複数回答)。
固定費の見直しに必要なのは、毎日の記録ではなく、決まって出ていく支出の一覧です。明細から一度書き出すだけなら、家計簿をつけていなくても始められます。
調査の詳細は【独自調査】939人の家計管理|家計簿30.6%と"先取り貯蓄"実践42.5%の実態をご覧ください。
平均と比べるときの注意
自分の支出が多いかどうかの目安として、総務省の家計調査の平均額を参考にする方法があります。2025年平均では、二人以上の世帯の消費支出は月314,001円で、そのうち光熱・水道は24,547円、通信(「交通・通信」の内訳)は11,672円でした。
単身世帯では、2025年平均の消費支出が月173,042円、光熱・水道が13,333円です。数値は総務省統計局「家計調査報告 家計収支編 2025年(令和7年)平均結果の概要」によります。ただし、これらは平均値で、世帯によって大きく異なります。平均より多いこと自体を問題と考えるより、自分の支出の内訳を確かめるきっかけとして使うと役立ちます。
見直す順番の決め方|効果・手間・失うものの3つで比べる
書き出した固定費は、「効果の大きさ」「手間」「見直しで失うもの」の3つで比べると、どこから手をつけるかを決めやすくなります。次の表は、6項目を同じ物差しで並べた編集部の整理です。実際の効果や手間は、契約の内容によって変わります。
項目 | 効果の大きさ | 手間 | 見直しで失うもの・かかるもの |
|---|---|---|---|
サブスク | 小〜中(件数が多いと大きい) | 小 | そのサービスを使えなくなる |
水道光熱費 | 小〜中 | 小 | 電気は料金プランによっては解約金 |
通信費 | 中(家族の分をまとめると大きい) | 小〜中 | 契約内容によっては解約金や端末代の残り |
保険料 | 中〜大 | 中 | 保障。乗り換え時は保険料が上がる・契約できない場合がある |
住居費 | 大 | 大 | 引っ越しの費用、借り換えの諸費用 |
車の維持費 | 中〜大(手放す場合は大) | 中〜大 | 移動手段、生活の便利さ |
編集部の整理では、表の上にある項目ほど、失うものが少なく手間も小さいと考えています。まずサブスク・水道光熱費・通信費で見直しに慣れ、次に保険料、最後に住居費と車を時間をかけて検討する、という順番が取り組みやすい進め方の1つです。
ただし、住宅ローンの金利や保険料の負担が特に大きいと感じている場合は、その項目から先に情報を集め始めても構いません。どの順番でも、解約や乗り換えの前に「失うもの」を確認することが共通の手順です。
項目別の見直し方と確認点
通信費(スマホ・インターネット回線)
通信費は、毎月使っているデータ量と契約しているプランが合っているかを確かめるところから始めます。スマホのデータ使用量は、契約先のアプリや会員ページ、毎月の請求書などで確かめます。使っていない有料オプションが付いたままになっていないかも、あわせて確認します。
家族それぞれが契約している場合は、全員分をまとめて書き出すと、見直したときの効果が分かりやすくなります。総務省の家計調査(2025年平均)では、二人以上の世帯の通信(「交通・通信」の内訳)は月11,672円でした。
プランの変更や乗り換えの前には、契約期間の決まりや解約金の有無、端末代の支払いが残っていないかを、契約内容で確認します。インターネット回線も、解約や乗り換えの前に契約内容を確かめます。
サブスクリプション
動画・音楽の配信、アプリ、会員サービスなどのサブスクは、1件あたりの額は小さくても、件数が増えると合計が大きくなります。明細に出てくるサービスごとに、最後に使った時期を確かめると、解約の候補を見つけやすくなります。
無料期間のあとに自動で有料に切り替わるサービスは、申し込んだまま使っていないものがないかを確かめます。解約の手続きはサービスごとに違うため、各サービスの案内に沿って手続きし、解約できたことを確認画面やメールで確かめます。
水道光熱費
電気は、使い方の工夫に加えて、契約している会社や料金プランを見直す方法があります。資源エネルギー庁「よくある質問」によると、電力会社を変えても今ある送配電網を使うため、新たに電線を引くことはありません。電気そのものの品質や信頼性(停電の可能性など)も、どの会社から買っても同じと説明しています。
一方で、料金プランによっては解約金がかかることがあります。資源エネルギー庁は、契約の前に、契約期間、毎月の料金の算定方法、割引の額と対象期間、契約期間内に解約する場合の制約や手数料などを確認するよう呼びかけています。
電気代の見直し方は電気代節約は限界がある?浮いた月5000円を新NISAで増やす賢い方法で詳しく紹介しています。
保険料
保険料の見直しでは、まず加入している保険をすべて書き出し、保障の内容が重なっていないか、今の家族構成や収入に合っているかを確かめます。勤務先の制度や公的な保障で賄える部分がないかも、確認する材料になります。
ITトレンドMoney編集部が2025年に全国の個人592名を対象に行ったWebアンケートでは、保険に「すでに加入している」人が90.9%でした。見直しへの関心を尋ねると、「今のところ考えていない」が63.5%で、「興味あり、今の保険を見直したい」は12.7%でした。
見直しの方法は、解約だけではありません。生命保険文化センター「生命保険の契約にあたっての手引」は、保険金の減額や特約の解約、別の保険の追加、転換などの方法を挙げています。転換では、告知(診査)が必要です。
今の保険を解約して乗り換えると、保険料が割高になったり、健康状態によっては新たに契約できなかったりする場合があります。
生命保険文化センターによると、乗り換えると契約年齢が上がるため、保険料が割高になる場合があります。解約を考えるときは、新しい保険の条件と、今の保険をやめた場合に失う保障を並べて比べます。
調査の詳細は【独自調査】592人の保険加入実態と選び方|加入率90.9%・満足度56.3%をご覧ください。
住居費(家賃・住宅ローン)
住居費は金額が大きくなりやすく、下げられたときの効果も大きい項目です。賃貸の場合は、更新のタイミングで家賃の交渉や住み替えを検討する方法があります。住み替えには引っ越しや契約の費用がかかるため、下がる家賃と比べて判断します。
住宅ローンを返済中の場合は、借り換えが候補になります。ITトレンドMoney編集部は2025年に、全国の個人590名を対象にWebアンケートを行いました。住宅ローンを利用している208名のうち、64.4%が変動金利型を選んでいます。
同じ208名に住宅ローンへの不安や関心を尋ねると、「変動金利の上昇」が63.0%で最も多くなりました。「毎月の返済額の軽減」は20.7%、「住宅ローンの借り換え」は15.4%です(複数回答)。
借り換えには費用がかかります。住宅金融支援機構の【フラット35】の借換融資では、印紙代、融資手数料、登録免許税、司法書士報酬などの費用も借入の対象として示されています。借り換えを検討するときは、下がる利息の総額とこれらの費用を合わせて比べます。
調査の詳細は【独自調査】590人のお住まい実態|住宅ローン変動金利64.4%と金利上昇不安63%をご覧ください。
車の維持費
車の維持費には、自動車保険、駐車場代、税金、車検や点検、ガソリン代などがあります。このうち自動車保険は、補償の内容や運転する人の範囲が今の使い方に合っているかを、更新のタイミングで確かめる方法があります。
車を使う回数が少ない場合は、車を持ち続けるかどうか自体を見直す選択肢もあります。手放すと維持費はなくなりますが、移動の手段や生活の便利さに影響するため、代わりの移動方法にかかる費用と比べて判断します。
浮いたお金の使い道|先取り貯蓄で手元に残す
固定費を下げても、浮いた分をそのまま普段の口座に置いておくと、ほかの支出に回りやすくなります。下がった額を毎月決まった日に別の口座へ移す先取り貯蓄にすると、見直しの効果がお金として残ります。
ITトレンドMoney編集部が2025年に全国の個人939名に行ったWebアンケートでは、42.5%が「毎月自動的に貯蓄・投資に回している」と答えました。この設問は貯蓄と投資をまとめて尋ねたものです。
急な出費や収入が減ったときに備えるお金がまだ手元にない場合は、浮いたお金をその備えに回す方法もあります。備えの額の考え方は生活防衛資金はいくら必要?公的給付から考える月数の決め方と置き場所で紹介しています。
固定費の見直しでよくある質問
Q. 固定費は何から見直せばよいですか?
失うものが少なく手間も小さいサブスク、水道光熱費、通信費から始めると取り組みやすくなります。保険料や住居費は効果が大きい一方、解約や借り換えの前に確認することが多いため、情報を集めてから判断します。
Q. 固定費の見直しで、どれくらい節約できますか?
契約の内容によって大きく違うため、一律の額はありません。見直し前後の月額の差を12倍すると、1年あたりの効果を計算できます。たとえば月3,000円下がれば年36,000円、月1万円下がれば年12万円です。
Q. 保険は解約してから新しく入り直せばよいですか?
乗り換えると契約年齢が上がるため保険料が割高になる場合や、健康状態によっては新たに契約できない場合があります。解約の前に、新しい保険に入れるかどうかと、今の保険をやめて失う保障を確かめます。
Q. 電力会社を変えると、停電しやすくなりませんか?
資源エネルギー庁は、電気の品質や信頼性(停電の可能性など)はどの会社から買っても同じと説明しています。ただし料金プランによっては解約金がかかることがあるため、契約の前に条件を確認します。
Q. 住宅ローンの借り換えは、金利が下がれば必ず得ですか?
借り換えには、印紙代や融資手数料、登録免許税、司法書士報酬などの費用がかかります。金利が下がっても、残っている借入額や期間によっては、下がる利息より費用のほうが大きくなることがあります。両方を合わせて比べて判断します。
まとめ|固定費は書き出してから、失うものが少ない順に見直す
固定費の見直しは、一度変えれば効果が続く一方で、保険や住宅ローンのように、見直し方によっては保障や費用の面で損につながる項目もあります。
判断の分かれ目は、節約できる額の大きさに加えて、手間と失うものを比べることです。サブスクや水道光熱費、通信費から始め、保険料と住居費は条件を確かめてから決めると、損を避けながら進められます。
次のステップは、直近3か月分の口座とカードの明細から、毎月決まって出ていく支出を書き出すことです。
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出典(公的機関・統計):総務省統計局「家計調査報告 家計収支編 2025年(令和7年)平均結果の概要」(PDF)、資源エネルギー庁「電力の小売全面自由化 よくある質問」、公益財団法人生命保険文化センター「生命保険の契約にあたっての手引 その3 生命保険の見直しと留意点」、住宅金融支援機構「【フラット35】借換融資 ご利用条件」
出典(調査):ITトレンドMoney編集部 独自調査(各調査の概要は本文に記載)
免責事項:本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品やサービスの勧誘や推奨を行うものではありません。掲載している統計や制度の内容は記事執筆時点(2026年9月)のものであり、変更される場合があります。契約の変更・解約・乗り換えの条件は契約内容や各社により異なるため、必ず契約先で最新情報をご確認ください。最終的な判断は、お客様ご自身の責任において行っていただきますようお願いいたします。

